兼業主婦の休業損害

1 主婦の休業損害

 誰かと同居して家事をしている家事従事者が、交通事故にあって家事をすることができなくなった場合、原則として家事従事者の休業損害が認められます。

 家事は報酬のないものですので、家事従事者は、対価としての報酬が減額されるわけではありません。

 しかし、家事労働は、同居している人のサポートをして同居の方の収入を増加させ、また出費を抑えるものです。家事労働には、経済的な価値が認められるため、休業損害が認められます。

 家事従事者の休業損害では、家事に支障が生じた程度をどう主張、証明していくかなどの難しい問題があり、金額についての交渉が必要になります。

 このように、家事労働には給料などの対価は支払われませんが、自分以外の人のためにする家事は金銭的に評価され得るものですので、主婦についても休業損害が認められています。

 なお、お一人暮らしの場合は、自分のためにする家事ですので、原則として、家事従事者の休業損害は認められていません。

2 給与所得者の休業損害

 働いて会社から給料をもらっている給与所得者は、原則として、事故が原因の休業で給料などが減額された分の金額を請求することができます。

 給与所得者の休業損害は、減額された金額などの必要な情報を会社に休業損害証明書を書いてもらって、請求します。

 第三者である会社が証明してくれますので、きちんと書類を揃えれば、比較的容易に休業損害の請求ができます。ただし、損害額の計算方法に違いがあることもありますので、注意が必要です。

3 兼業主婦の休業損害

 兼業主婦は、給与所得者の側面と家事従事者の側面の双方の側面を有しています。では、休業損害を請求する際には両方の損害を請求できるのでしょうか。

 実務では、兼業主婦が休業損害を請求する際には、通常、会社等を休んだことによる休業損害と家事従事者の休業損害のいずれか有利な方を選択して請求することになっています。

 仕事と家事を一生懸命両立させている兼業主婦にとっては納得できないかもしれませんが、現実の収入額が全年齢平均賃金を上回っているときは実収入額で、下回っているときは全年齢平均賃金をもとに計算して請求することが多くなっています。

 兼業主婦の場合には、保険会社から、家事労働の労働時間自体は専業主婦に比べれば少なくならざるを得ず、家事労働分について専業主婦と同等の評価できないと主張されることがあります。また、仕事を休まずにできた以上は、家事もできたはずだと主張されることもあります。

 実際には、代替要員確保ができなかったり、仕事上の資格の関係で他の人と交代ができなかったりなど様々な理由で、どうしても仕事を休むことができないことがあります、このような場合に、無理に仕事をして、より一層家事に支障が出ることもあります。

 保険会社から働いている場合には家事従事者の休業損害は払えないと言われてすぐに諦めてしまってはいけません。

 休業損害について納得がいかない場合には、一度、弁護士に相談してみてください。

 

交通事故と労災保険

1 労災保険の使用

通勤中やお仕事中に交通事故にあった場合には、加害者の任意保険会社だけでなく労災保険を使うこともできます。

ただし、任意保険会社と労災保険の両方に同じ損害項目があったとしても、一方から給付をされたものについて、二重に給付を受けることはできません。

例えば、労災保険から療養の給付を受けて労災保険が治療費を支払っている場合には、労災保険が支払った治療費については任意保険会社に請求することはできません。

通常は、労災保険が支払った治療費や休業給付等については、労災保険が加害者の過失割合等に応じて、加害者側の自賠責保険や任意保険会社等に求償しますので、労災保険を使ったからといって加害者側が支払いを免れるわけではありません。労災保険が負担すべきでなく加害者が負担すべき損害については、労災保険が労働者のために立て替えた後、加害者の加入する保険や加害者本人に請求する構造になっています。

また、労災保険の使用は被害者にもメリットがある場合があります。

被害者側にも過失があったような場合や、加害者が任意保険に入っていない場合、短期で保険会社からの治療費支払いの打ち切りが見込まれるような場合などでは、労災保険を使用することは被害者にとってもメリットがあります。

2 労災保険と健康保険

通勤中や仕事中のおケガの場合には、健康保険が使えません。

健康保険よりも労災保険の使用が優先されますので、労災保険が使える場合に健康保険証を提示して治療を受けることができません。

間違って健康保険証を提示して支払いをしてしまうと、病院で労災保険への切り替えができない場合には、一旦これまでの治療費を全額自己負担で立て替えてから労災保険に申請して返金してもらわなければならなくなることがあります。

一旦自己負担が必要になったり、かなり複雑な手続が必要になったりしますので、通勤中や仕事中に交通事故にあった場合には、十分注意する必要があります。

ただ、交通事故で健康保険を使う場合には、通常は第三者行為による傷病届をする際に健康保険組合等から事故にあったときの状況を確認されます。帰宅経路から一旦外れた場合等、判断が難しい場合もありますが、第三者行為による傷病届をすれば、手続中に健康保険が使えるかどうかがはっきりします。

きちんと手続をすれば間違いに気づけるようになっていますので、事故直後で大変な時期ですが、必要な手続きはお早めに行ってください。

詳しくは、弁護士にご相談ください。

大型連休中の交通事故にご注意ください

1 安全運転

今年は、久しぶりに行動制限のないゴールデンウイークになりました。

レジャーや帰省、お買い物などで自動車などで外出される方が多くなっています。

久しぶりに運転をしたり、ちょっと無理をして遠出をしている方もいらっしゃるかと思います。運転や道に慣れていなかったり、疲れて注意散漫になっていたりして、交通事故が多発する時期でもあります。

久しぶりにお出かけになる方は、無理のない計画でいつもよりもスピードを落として安全運転でお出かけください。また、長距離の運転をされる方は、きちんと交代や休憩をはさみながらの運転をお願いいたします。

そして、乗車している方はシートベルトをきちんと着用して、安全を確保してください。

2 事故にあったら早期の通院

そうはいっても、自分が安全運転をしていたり、歩いていたりしていて交通事故に巻き込まれてしまう方もいらっしゃいます。

長期の連休中には、医療機関や保険会社がお休みで通院開始が遅れてしまう方がいらっしゃいますが、症状がでたかたはすぐに病院にいって診察や検査を受けてください。

初診が遅れてしまうと、ケガと事故との因果関係が不明確になってしまい、交通事故として治療費等の損害の賠償を受けることができなくなってしまいます。

大型連休中に交通事故にあわれた方も、すぐに病院に行ってください。

3 まとめ

連休中は交通事故が増加するタイミングです。

気を付けていても万一交通事故に巻き込まれてしまったら、早めの通院と弁護士への相談をお願いします。

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交通事故と労災保険

1 加害者側加入の保険と労災保険の関係

 交通事故での治療は自由診療しかできないと思っている方も多くいらっしゃいます。

 しかし、通勤中の交通事故や仕事中の交通事故では、労災保険が使えることも多くあります。

 勿論、被害者の方に過失がなく、重傷事故ではない場合には、加害者側の保険会社が治療費を負担するので労災保険を使わないという選択もできます。

 一方、保険会社に治療について口出しされたくない場合には、労災保険を使って治療をする方もいらっしゃいます。

 両方の制度が使える場合には、被害者が使うかどうかを選ぶこともできます。

 ただし、加害者が加入している保険会社から損害賠償を受ければ、支給調整がされるため、同じ趣旨のお金を二重に受け取ることはできません。

 例えば、労災保険で治療をした際に保険会社に治療費を請求することはできませんし、保険会社から休業損害を受け取った場合には、労災保険の休業(補償)給付を受け取ることはできません。逆に、休業(補償)給付を受け取った後に、保険会社に休業損害を請求するときには、休業(補償)給付で受け取った金額(給付基礎日額の60%)を差し引いた金額を請求することになります。

2 労災保険を使うメリット

 せっかく労災保険を申請しても、慰謝料など一定のお金は支払われませんし、支払われる給付金も賠償金から差し引かれるのであれば、申請する意味がないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、労災保険の特別支給金や援護金などの一定の支給金は、福祉的な理由で支給されるものですので、労災保険から受け取ったとしても賠償金から差し引かれることはありません。

 ケガをして入院するなどして長く休業した場合には、労災保険から支払われる特別支給金の金額が大きなものになり、労災保険の申請をすることで生活の助けとなることもあります。

 また、被害者にも過失がある場合には、保険会社からの賠償金は原則として過失相殺されますが、労災では過失相殺されません。

 労災保険からの支給内容と保険会社からの賠償金には、それぞれ制度が異なることで内容が異なるお金が支給され、異なるメリットが生まれることもあります。

3 弁護士への相談の必要

 労災保険を使うかどうかは、被害者がおかれているそれぞれの事情により、メリットデメリットがあります。

 交通事故にあわれた方は、できるだけ早く弁護士に相談してください。

 

 

 

 

未成年が交通事故でケガをした場合

1 未成年の損害賠償請求

 交通事故にあった被害者の方が未成年の場合、誰が発生した損害の賠償請求をするのでしょうか。

 未成年者には、原則として財産を処分する行為能力が認められていませんので、未成年は原則として自分で損害賠償請求や示談をすることはできません。

  損害賠償請求は、被害者が未成年の場合には、原則として、未成年者の親権者が損害賠償請求をすることになります。

 未成年者の父母が婚姻中は父母が共同して親権を行使しますので、本来は保険会社と示談をする際には父母双方の署名が必要になりますし、弁護士に交渉を依頼する場合には父母双方が契約書などに署名をする必要があります。

 父母が離婚する場合には、父母のいずれが親権を持つのか父母の一方を親権者に定めるとされていますので、定められた父母のいずれか一方が親権者になります。

 親権者が亡くなったりして親権を持った方がいない場合には、未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

2 未成年の損害賠償請求

  未成年が交通事故にあった場合でも、治療費や慰謝料の請求については、原則として、成人の方と同じです。

  12歳以下のお子様の場合には、状況にもよりますが、通常は親が通院等に付き添う必要がありますので、付添看護費が認められやすくなります。

  もちろん、成人の場合でも、入通院の付添費は医師の指示があったり、ケガの程度が重かったりした場合には認められますが、被害者が幼児等の場合には、近親者が付き添う必要性はかなり認められやすくなります。

  また、付添看護費の日額については様々ですので、場合によっては交渉により増額されることもあります。

3 弁護士にご相談を

  お子様が交通事故にあった場合には、ご両親が対応をすることになり、お子様へのフォローと保険会社に対する対応で疲れ切ってしまいがちです。

  未成年が交通事故にあった場合には、弁護士法人心京都法律事務所にご相談ください。

  

  

交通事故にあった後の解決方法

1 示談交渉での解決

交通事故で被害にあった場合には、通常、保険会社又は相手本人に請求をして示談交渉を行います。

示談交渉とは、話し合いでの解決を言います。

話し合いですので、お互いに了承しなければ示談はできません。

しかし、お互いに納得していれば、支払われる金額についての根拠は必要ありません。

お互いにある程度譲り合うなどして金額に合意ができれば、それだけで和解して示談交渉で解決することができます。

2 訴訟での解決

金額で折り合いがつかずに示談交渉が決裂したり、話し合いでの解決を望まない場合には、訴訟を行うことになります。

相手の合意なく支払いをさせようとした場合には、訴訟をする必要があります。

弁護士がいるからといって、それだけで相手が認めない金額を支払わせることはできません。

加害者が弁護士に依頼して交渉したからといってそれだけで被害者が提示してきた金額に応じる必要はありませんし、被害者が弁護士に依頼して交渉してきたからといってそれだけで無理やり金額に納得していないのに支払いを強制できるわけでもありません。

訴訟をして判決が確定すれば、相手が自発的に支払わなくても、強制執行を行うなどして、知っている相手の財産から支払いを受けることができます。

3 解決のために弁護士をご利用ください

交通事故の賠償金を支払わせるためには、示談交渉で賠償金の金額に合意して和解するか、訴訟によって金額を裁判所に決めてもらう必要があります。

いずれの場合でも、相手との交渉や賠償金の金額が適正かどうかの判断は容易でないことが大半です。

交通事故にあった方は、弁護士に相談して、きちんと適正な賠償金を受け取るようにアドバイスを受けてください。

自転車同士や自転車と歩行者との交通事故

1 自転車での事故の場合

 道路交通法上、自転車も軽車両として交通規制に服することになっています。負傷者の救護義務や警察への報告義務は自動車の場合と同じです。

 自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故でも警察への届出が必要ですし、届出をすれば交通事故証明書が発行されます。

 また、ケガをした場合には、診断書を届け出て人身事故届出をすると、実況見分がおこなわれます。

2 警察に届けない場合のデメリット

 特に自転車での事故は、きちんと届出をしておかないと、相手がきちんとした連絡先を教えてくれていなかった場合などには、事故の相手を特定ことができなくなり、損害賠償を請求することができなくなります。

 事故直後は大したことがないと思っていても、むちうちのようにしばらく後から重い症状がでてくるケガもありますので、事故が発生した場合にはきちんと警察に届出ることが大切です。

 また、そんな事故はなかったなどと言われた場合には、事故があったことを請求する側が証明しないといけなくなりますので、大変なことになります。

 せっかく保険に入っていても、事故があったことを証明しないと保険金が下りませんが、相手が協力してくれないと保険金の請求ができなくなることもあります。

 警察に届出をして交通事故証明書を作成してもらえるようにしておけば、このような心配は必要ありません。  

3 自転車同士や自転車と歩行者の交通事故も警察へ

 自転車事故にあった場合もきちんと警察に届出をしてください。

 特にケガをしたような場合には、その場で届出ていなくてもできるだけ届出をして、きちんと事故があったことを警察に証明してもらえるようにしておいてください。

  

 

道路の状況と過失

 最近は急に冷え込んで寒くなってきました。

 場所や時間帯によっては道路が凍結してスリップ事故などが発生することがあります。

 雪が降ったり道路が凍結したりした場合には、過失を考慮する際に通常とは少し違った考慮要素が加味される可能性があります。

 まず、雪道や凍結した道路では、不用意にブレーキを踏むとスリップすることになります。そこで、過失を考慮する際に、急なブレーキ操作の有無が考慮されることになります。

 また、寒冷地では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどのスリップ事故対策をして道路を走行していないかが過失認定の際に考慮されます。

 雪道や凍結した道路では、法定速度よりも下回る速度で走行すべきとされる場合があったり、通常よりも車間距離をあけることを要求される場合もあります。

 法定速度等も常にそれさえ守っていればよいというわけではなく、道路の状況等によっては、思わぬ事情が過失を認定する際に考慮されることがあります。

 過失については、様々な要素が考慮される場合がありますので、もし、相手保険会社から言われた過失割合に納得がいかない場合には、早めに弁護士などの専門家にご相談いただいて、何か有利な事情等がないかを確認された方がよいでしょう。

交通事故にあった時には

 新型コロナウイルスも少し落ち着いてきたため、外出をされる方も増えてきています。

 車での外出が増えているため、交通事故も増えていくことと思います。

 ご自身は安全運転をしていても、交通事故に巻き込まれてしまうことはよくあります。

 交通事故にあった場合には、まずはご自身等の身体の安全を確保しつつ、他の方の救護、警察への通報、必要に応じて救急車の手配等をしてください。

 また、可能であれば、2次災害が起こらないように車のハザードランプをつけたり、車両等を道路の端などの安全なところに寄せたりしてください。

 安全や状況に問題がなければ車の状態の写真を撮っておいたり、相手の連絡先等を確認することも大切ですが、写真を撮るために道路を歩き回ってかえってご自身が自動車にひかれてしまうこともあります。

 交通事故にあってしまった時には、まずはご自身の身体の安全を守ってください。

交通事故にご注意ください

新型コロナウイルス感染者の増加が少し落ち着き、連休も近づいてきています。

少しずつ活動が活発になりつつありますが、移動の際に公共交通機関を使わないようにするために、久しぶりに自動車を運転される方が増えています。

久しぶりに運転される方が慣れない運転で事故を起こしてしまったり、普段は通らないような慣れない道や初めての道を通ることで事故を起こしたりすることが増えています。

自動車を運転する際には、安全運転を心がけてください。

また、気を付けていても交通事故の被害にあってしまった場合には、なるべく早く弁護士法人心京都法律事務所にご相談ください。

早めに相談をすることで、安心して交通事故対応を行うことができるようになります。

交通事故にあった方の初回の法律相談料は無料になっていますので、お気軽にご相談ください。

交通事故で弁護士へ依頼する理由

1 被害者の弁護士へのご相談,ご依頼 

 交通事故の被害者が法律相談を受けた後に,正式に交通事故での相手に対する損害賠償請求を弁護士に依頼する場合には,通常は契約書を作成して署名や押印をします。

 その後,交通事故で弁護士が被害者から相手に対する損害賠償請求の依頼を受けると,弁護士は受任通知という通知を送ります。

 受任通知は,弁護士が依頼者から依頼を受けて代理人になったという旨の通知です。

 加害者が任意保険会社に入っていれば相手の任意保険会社に,任意保険に入っていなければ加害者本人に通知を送ります。

 弁護士が受任通知という通知を相手に送ると,その事件の窓口は弁護士になり,お互いにすべて弁護士を通してやり取りをすることになります。

 受任通知が相手に届いた後は,原則として依頼者本人が加害者や相手保険会社に直接連絡を取ることができなくなります。

 一方,加害者本人や相手保険会社も,原則として弁護士を通さずに依頼者に連絡を取ることができなくなります。
窓口が担当弁護士に固定されますので,お互いに送付したい書類や伝えたいこと等の一切を弁護士を通じて行うことになります。

2 被害者が早めに弁護士に依頼する理由

 相手保険会社の担当者とやり取りをすること自体がストレスになるような場合には,早めに弁護士に依頼される方もいらっしゃいます。

 また,相手保険会社の担当者と過失や治療期間についての交渉をしてもきちんと話を聞いてくれないので代わりに強く主張して欲しい場合や,後遺障害の申請をしてほしい場合,提示された示談金が適正でないので交渉して欲しい場合等に依頼される方もいます。

 被害者の方が弁護士に依頼されるタイミングは,個々の事情により様々です。

 ただ,どのタイミングで依頼するかを検討するためにも,弁護士への相談は,早めにしておくべきですし,できれば節目ごとに依頼を検討するべきです。

3 加害者が弁護士に依頼する理由

 逆に,加害者が弁護士に依頼したような場合には,加害者の弁護士から受任通知が送られてきて,一切のやり取りを相手弁護士を通してすることになります。

 双方に弁護士が入っていると,お互いに一旦弁護士を通して,弁護士同士がやり取りをすることになります。

 弁護士に依頼すると,対決姿勢をとったとか反省がないなどと思われる方がいらっしゃいますが,必ずしもそうではありません。

 事実関係に争いがなくても,その法的に意味が争われる場合や事件が複雑で保険会社の担当者では対応できない場合,正式な書面を作る必要がある場合等には,加害者側が弁護士に依頼する場合もあります。

 特に任意保険に入っていない加害者が弁護士に依頼するような場合には,賠償金を十分に支払えないのに弁護士に依頼することに反発を覚えることもあります。

 しかし,加害者に弁護士がつくことで,現実的な分割弁済案の提案ができることもあります。

 加害者の弁護士から受任通知が届いてもまずは冷静に話をしてみて,必要に応じて自分も弁護士に依頼するかを検討してください。

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雨の日の交通事故にご注意ください

1 最近は、京都でも激しい雷雨があったり、長時間雨が降り続いたりする日があったりしています。

 雨の日には、自動車を運転している場合でも歩いている場合でも視界が悪くなるため、事故が起こることが多くなっています。

 ワイパーや水滴、傘等によって視界が遮られて、水滴にライトが反射するなどして視界が悪くなると、交通事故は発生しやすくなります。

 また、雨により路面が濡れているためブレーキをかけてから停止するまでの距離が長くなってしまいます。

 雨の日には、自動車の速度を抑え、車間距離を十分にとって安全運転を心がけてください。

2 ただ、ご自身がいくら事故に気を付けていたとしても、追突事故の被害者となってしまうというような形で交通事故に巻き込まれてしまう場合もあります。

 赤信号や渋滞、一時停止に従って停車しているなど、必要があって停車している際に後方から追突される場合には、基本的には停車している車に過失はありません。

 追突した車の前方不注視や車間距離不保持などの一方的な過失に因る事故と考えられるためです。

 一方、危険防止のため等のやむを得ない理由がないにもかかわらず急ブレーキをかけたことで後方の車が追突したのであれば、急ブレーキをかけた車にも過失があることになります。

  事故の状況によっては割合について修正が加わるなどして過失は異なってきますので、詳細な事情を伺わないと、過失についての判断はできません。

3 交通事故の過失についてのご相談は弁護士法人心京都法律事務所にご相談ください。

  正確に過失を判断するためには、道路状況や双方の車両の動きなどをきちんと把握する必要があります。

  過失は損額賠償の金額に直結する重要な要素ですが、物損の損害賠償の際に安易に和解してしまうとケガについても適用されて大きな不利益が発生することがしばしばあります。

 和解の前にはぜひ弁護士にご相談ください。

給与所得者の休業損害証明書作成

京都も梅雨に入ってから雨の日が多くなってきています。

雨の日は交通事故が起こりやすくなっておりますので、皆様お気を付けください。

さて、今回は休業損害証明書について、お話をします。

1 休業損害証明書はいつ誰が作成するのか

交通事故にあった会社員やアルバイトなどの給与所得者が、ケガなどが原因で仕事を休んだ場合には、休業損害証明書を作成して仕事を休んで収入が減額したことを証明する必要があります。

給与所得は生活にかかわっていますので、早急に請求する必要がある場合には、事故から給与の締め日までの分など、ある程度の区切りをつけて一定期間分を何回かに分けて休業損害証明書を作成して請求していくことがあります。

また、休業日数が少なく生活に影響が少ない場合などには、症状固定時に事故発生時点からの全ての期間の休業損害証明をまとめて休業損害証明書を作成して、示談交渉をする前に提出することもあります。

では、保険会社から、休業損害証明書の用紙や記載例を渡された場合には、どのようにすればよいのでしょうか。

休業損害証明書は、自分で作成するものではなく、勤務先の会社に作成をお願いするものです。

時々、被害者の方が記載例を見ながら作成しようとしている場合がありますが、ご自分で作成するものではありません。お仕事を休んだ会社に持参して作成をお願いするものです。

勤務先の会社が大きな会社ですと総務部や人事部が担当している場合が多いですが、中小企業の場合には社長自らが作成してくれる場合もあります。

会社の中で誰が休業損害証明書の作成を担当しているかは会社によって異なっていますが、ご自分で作ろうとはせずに勤め先に用紙をもっていって、担当の方に作成をお願いしてください。

派遣社員の方は、派遣先ではなく、派遣元の派遣会社に作成をお願いすることになります。

2 休業損害証明書の訂正

休業損害証明書には、会社の印鑑を押したり、担当者の名前や連絡先を書く欄もあります。

担当者が慣れていなくて、間違いなどがある場合には、直接保険会社から担当者に連絡がいき、担当者が訂正をすることもあります。また、修正をお願いするように被害者に返送されてくる場合もあります。

保険会社から返送された書類の訂正を担当者にお願いしづらかったり、訂正に時間がかかるのを嫌がって自分で直そうとする方がいらっしゃいますが、絶対に自分で勝手に休業損害証明書に書き込んだりしないでください。

些細な誤記でも、勝手に自分で修正しようとはせずに、必ず担当者に訂正をお願いしてください。

権限のない方が勝手に内容を変えてしまうと、休業損害証明書の内容が全く信用されなくなったり、私文書偽造になったり、場合によっては虚偽の書類による休業損害の請求として詐欺になったりします。

休業損害証明書は、事故とはかかわりのない第三者である会社が、仕事を休んだことや給料の金額等を証明することが大きな意味をもっていますので、休業損害証明書の作成については勤務先に任せてください。

3 休業損害証明書に添付する書類や記載内容

休業損害証明書には、事故前年度の源泉徴収票を貼付する部分があります。

事故前年度に勤務先に在籍していないような場合には、源泉徴収票の代わりに事故前3か月の賃金台帳の写しを提出する場合もあります。

休業損害を請求する場合にはこれらの書類を揃えて、休業損害証明書と一緒に提出する必要があります。

また、休業損害証明書には、有給や欠勤、遅刻等の日数を記入する場所があります。

3 不明な点は弁護士にご相談ください

通常の有給休暇は、事故が原因で有給休暇を取得しなければ他のことに使用したり、買い取りをしてもらえる等、経済的な価値のあるものですので、事故が原因で収入が減少していなくても有給休暇を使用したことにより休業損害が発生したといえ、賠償を受けることができます。

保険会社は、事故が原因で会社を休んだことを知っていれば必要な書類を渡してくれますが、あまり詳しく説明してくれません。

また、有給休暇分の休業損害を請求することを知らなかったり、休んだかどうかを確認していない保険会社の担当者が書類を渡さずに被害者が休業損害の請求をしないまま示談をしてしまうこともあります。

一旦相手の保険会社と示談をしてしまうと、あとから追加で休業損害を請求することができなくなってしまいます。

交通事故の被害者の方で事故が原因でお仕事を休まれたりした方は、請求すべきものを請求できているかや支払い金額が正しいかどうかを、弁護士に相談して確認してみてください。

人身事故届出をしないことのリスク

1 交通事故証明書

  交通事故が発生して警察に届出た場合には、通常、交通事故証明書が作成されます。
  交通事故証明書は、交通事故の事実を証明する書類で、自動車安全運転センターに発行を申請すると交付されます。
  警察から提供された資料をもとに内容が作成されますので、警察に届出をしないと交通事故証明書は発行されません。
  また、被害者が、警察に診断書等を提出して人身事故の届出をしていなければ、「人身事故」と記載されず、「物件事故」と記載された書類になってしまいます。

2 人身事故証明書入手不能理由書
  それでは、人身事故にあった場合で、何らかの理由で警察へ人身事故の届出をせずに物件事故のままになっていた場合には、保険会社に対してケガに関する損害賠償を請求できないのでしょうか。
  警察に対して人身事故として届け出ていなかったとしても、事故の相手や目撃者等が事故でケガをしたことを認めていれば、人身事故証明書入手不能理由書を作成することにより、ケガについての損害賠償を受けることができることが多いです。
  人身事故証明書入手不能理由書は、交通事故に遭った際に人身事故扱いの交通事故証明書が入手できなかった理由を記載し、実際は人身事故があったことを示す書類のことです。
  加害者は、物件事故のままにすることで行政処分や刑事処分を受けずに済みますので、加害者にとってはメリットが大きいことになります。
  しかし、物件事故のままにすることは、ケガをした被害者にとってはリスクがあります。

3 人身届出をしないことのリスク
  人身事故証明書入手不能理由書では、多少記載が異なる場合がありますが、人身事故にしなかった理由を以下のような内容の5つの項目の中から選んで記載することになります。
 ・受傷が軽微で、検査通院のみ(予定を含む)であったため
 ・受傷が軽微で、短期間で治療を終了した(もしくは終了予定の)ため
 ・公道以外の場所(駐車場、私有地など)で発生した事故のため
 ・事故当事者間の事情(理由を具体的に記載してください。)
 ・その他(理由を具体的に記載してください。)
  このように、基本的にはケガをすれば人身事故届出をすることが通常と考えられていますので、人身事故届出をしないということはケガが軽微な場合や少なくとも事故当初は軽いケガだと思っていた場合であることが予想されることになります。
  そこで、人身事故届出をしない場合には、ケガが軽微であるとして保険会社に早めに治療費の負担を打ち切られたり、後遺傷害が認定されにくい方向に働くことがあるのです。
  このように、交通事故で人身事故届出をせずに物件事故のままにすることを検討する場合には、慎重に判断する必要があります。

4 人身事故届出の必要
  交通事故でケガをされた方は、原則としてはきちんと人身事故として警察届出て手続きをするべきです。
  何らかの理由でやむを得ず物件事故のままにして人身事故証明書入手不能理由書を使う場合には、本当に軽微なケガで後遺障害や長期の治療は必要がないと確信できる場合にすることが大切です。
  ただ、事故直後は軽傷と思っていても、むちうちのようにしばらくして症状がでてきたりするものもあります。
  京都で交通事故にあわれて何か迷っていることがあるかたは弁護士に相談してください。
  弁護士に相談することで、自分の行動に伴うリスクを把握してからどうするべきかを検討してください。

交通事故と自動車保険

今回は、交通事故の依頼者によく質問される保険の適用時点について、お話しします。

1 交通事故と保険契約

交通事故の被害者の方に適用されるのは,交通事故が発生した時点で効力が生じている保険です。
交通事故にあった後に新しい保険に入っても,遡って保険が適用されることは通常ありません。
弁護士費用特約を使用する場合にも、交通事故当時に効力が発生していた保険に弁護士費用特約が付帯しているかどうかを探す必要があります。
交通事故が起こってから自動車保険等に入ったり、特約をつけたりしても間に合わないのです。
今では弁護士費用特約に入っていたとしても、事故当時に入っていなければ弁護士費用特約は使えません。
自動車を運転される方は、きちんと検討して適切な保険に入りましょう。

2 交通事故後の保険会社の変更
交通事故にあった際に適用される保険は事故当時に入っていた保険ですので、事故後に別の保険会社の保険に変更しても、使用中の保険に影響がないことが通常です。
弁護士費用特約を使用して弁護士に依頼している途中で、自動車保険の更新の際に保険会社を変えたいとおっしゃる方もいます。
別の保険会社と新しく契約しても、事故当時に加入していた保険会社がそのまま弁護士費用を負担します。
事故後に保険会社を変更したり、保険をやめてしまったとしても問題ありません。
交通事故時の対応次第で保険会社を変更したり、保険内容を見直したりしてもよいのです。
万一再び事故にあった際に後悔しないように、更新の際にはきちんと保険を選んでください。

今年も1年ありがとうございました。

1 1年を振り返って
今年も1年が終わろうとしています。
名古屋も厳しい寒さが続いておりますが、皆様はお風邪など引いてはいないでしょうか。
今年は、新型コロナウイルス等で大変な1年になってしまいました。
年末に向けても新型コロナウイルス患者の増加で気が抜けない状況が続いています。
現在交通事故で通院されている方も、また不運にも年末年始に交通事故にあってしまうかたもいらっしゃるかと思います。
新型コロナウイルス患者の増加により、非常に通院しづらい状況は続いていますが、それでもやはり交通事故にあった際には通院が必要不可欠です。

2 通院継続の必要性
病院に行きづらい事情は保険会社も把握しています。
通院しないことについて説明すればある程度の配慮があった場合もありました。
しかし、それでもはり痛みがあれば通院するものと考えているため、通院の日数が少なければ治療費の支払いを打ち切ってきます。
病院への通院がしづらい場合には、病院を選んで転院をしたり、通院の頻度やタイミング、接骨院への通院を併用できないか等を医師に相談してみてください。
治療をしなければ症状は改善しません。
病院に行かなければ、我慢できる程度の軽い痛みしかない場合と区別できずに、治療は必要ないと思われてしまいます。
色々と工夫をして通院しやすい状況を作り出し、きちんと医師の指示に従って通院をしてください。

3 今年の最後に
今年も皆様には1年お世話になりました。
また、ブログを読んでいただきましてありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。
それでは、よいお年をお迎えください。

休業損害として認められるもの、認められないもの

名古屋も寒さが段々と厳しくなってきました。
新型コロナウイルス感染も増加してきておりますので、皆様お身体ご自愛下さい。
今日は休業損害について注意しておいた方がよいことを説明いたします。


1 休業損害について気を付けること
事故によるケガやその治療のために休業する必要が生じて休業し、現実の収入減や有休休暇の使用があった場合には、休業が損害として認められます。
もし、事故にあわなかったとしても収入が得られなかったのであれば、そもそも損害がありませんし、休業の必要がなければ損害が発生しても賠償されません。
入院する必要があって入院していたり、医師の判断で就労不能と判断されて休業が指示されれば、休業の必要があることが分かりやすく、争いが起きにくくなります。
医師に休業の必要性について相談する場合には、仕事の内容を含めてきちんと休業の必要があるかを相談してください。
休業に関して医師に診断書等を書いてもらう場合には、主治医に仕事の内容を十分に理解してもらった上で、医学的見地から休業が必要な理由を丁寧に記載してもらってください。
また、症状が悪化してやむ得ず休業する方もいらっしゃいますが、そのような場合にはご自宅で安静にするだけでなく、身体のためにも病院にいってきちんと診察を受けてください。
通院のない日に休業しても、ケガが理由なのか他の私的な事情で休業したのかが分からず、休業損害として認められないことがあります。
また、会社を休まなくても通院できるのにあえて遅刻や早退をして休業損害を請求しても、休業の必要がないとして損害として認められません。
事故直後には休まなかったのに、理由もないのに事故から時間がたってから休業した場合にも、事故との因果関係がないものとして扱われることがあります。
実際に休業して現実に収入が減少してから休業損害を争われると、生活に支障が生じる場合もあります。
安易に判断せずに、きちんと医師や弁護士に相談しておいたほうが安心です。

2休業損害として認められないもの
会社がお休みの日やお仕事が終わってから通院しても、給料の減額がないので損害がないことから、休業損害は認められません。
通院のために残業ができずに収入が減ることはありますが、残業は常にあるものではなく、残業の有無や残業時間が証明できないため、現実的には請求が困難です。
また、ケガによる通院等の際に有休休暇ではなく、代休を使う方がいらっしゃいますが、一般的には代休を使用した場合には休業損害は請求できません。
代休を使用した場合には、会社がお休みの日に病院に行ったことになり、損害が発生しないからです。
また、有給休暇にも色々な休暇がありますが、就業規則の定め方によっては休業損害として認定できないものがあります。
自由な時期に取得できる有給休暇は、労働者の権利であり、経済的価値があるものです。
本来であれば別の目的で使用することも可能でしたし、有給休暇が買い取りをされることもあります。
自由に使用できる有給休暇は、交通事故で使用したことで経済的な価値が失われてしまったので、休業損害として認められるのです。
ところが、私傷病休暇や夏季休暇など、使用時期や使用理由など使途を限定している休暇を使用した場合には、通常は休業損害は認められません。
私傷病休暇などは、ケガや病気などの定められた理由が発生しなければそのまま消滅するものですし、買い取りもありません。
このような有給の休暇を事故によって使用しても、被害者に経済的な損害が発生しないので休業損害とは認められません。

交通事故で被害者が弁護士に相談や依頼をする理由とタイミング

1 被害者が弁護士に接触する理由やタイミング
交通事故の被害者の方が,弁護士への相談を迷って相談しないまま相手保険会社と示談してしまうことがあります。
では,弁護士に相談や依頼をされた方は,どのような理由やタイミングで相談,依頼をされるのでしょうか。
2 交通事故直後のご相談,ご依頼
交通事故にあった被害者の方には,事故にあった直後に,交通事故の知識や対応の仕方を知りたくてご相談をされる方がいらっしゃいます。
今後の流れや今後やるべきこと,やってはいけないことなどの注意点を知っておくためにご相談をされたり,過失割合が気になって相談されます。
この段階で少なくとも一度は相談をして,必要な知識を身に着けておくことが一番安全です。
また,事故直後に保険会社や加害者からの心ない言葉や対応を受けたことでご相談を受けることもあります。
保険会社の担当者と話すこと自体が強いストレスになるような被害者は,この時点で依頼をされることもあります。
弁護士に依頼すると窓口が弁護士に一本化されて,相手側は弁護士を通してしか被害者に連絡を取れなくなりますし,被害者も弁護士を通してしか相手側と接触できなくなります。
対応自体が強いストレスになる方は,弁護士に相談してすぐに依頼をされる方もいます。

3 治療費の打ち切りや症状固定
交通事故で治療を続けていると,相手保険会社からそろそろ治療を終了するよう言われたり,症状固定と言われるたりしたことがあります。
被害者の方は,治療を続けたかったり,症状固定後にどうすればいいかわからなかったりして,弁護士に相談をします。
主治医がまだ治療が必要と言っているにもかかわらず相手保険会社から治療費を払わないと言われることもありますし,主治医も症状固定と考えていて後遺障害の申請に進むべき場合もあります。
状況によって,弁護士から治療費の一括対応や後遺障害申請の仕組み説明や相手保険会社等に対する対応方法のアドバイスをします。
治療費を立て替えること自体は相手保険会社の義務ではないため,治療費の支払いを強制することができませんし,症状固定後の治療費を支払う義務は相手保険会社にはありません。
しかし,被害者が,時間の都合で相手保険会社と直接連絡が取れていなかったり,性格的に強く言えない場合などに,代わりに相手保険会社に理由を聞いたり,自分の言いたいことを主張して欲しくて,弁護士に依頼される場合もあります。
また,後遺障害認定の可能性が上がるように後遺障害申請を弁護士に依頼される場合もあります。

4 相手保険会社からの示談提案
被害者が,相手保険会社から示談金額の提案を受け,適正な金額が分からなかったり,交渉しても増額しないので弁護士に相談することもあります。
弁護士に相談すれば,適正な金額かどうか,弁護士に依頼するメリットがあるか等をご説明いたします。
メリット等を確認のうえでご依頼いただくか決めることができますので,相手保険会社から示談金の提示があった場合には,すぐに返事をせずに弁護士にご相談ください。

治療費と過剰診療

1 治療の必要性,相当性
 交通事故にあった被害者の方の多くは,相手の保険会社から治療費の支払いを受けます。
 治療費として請求された実費が,すべて治療費として認められるとは限りません。
 治療費として認められるのは,必要かつ相当な実費に限られます。
 医師の指示に従って通院していれば,通常,治療の必要性や相当性が問題となることはありません。
 しかし,通えば通うほど慰謝料が増えると勘違いするなどして,一日に何度も通院した場合や無理に通院回数を増やした場合など,通院自体が過剰診療となる場合があります。

2 過剰診療と判断された場合
 診療行為の医学的必要性ないし合理性がない過剰診療の費用は,治療費として認められません。
 たとえば,ケガが軽微だったり,治療の終盤で徐々に治っているはずなのに,毎日通院をするような場合には,過剰診療が疑われます。
 過剰診療の場合には,交通事故の治療費とは言えないので,治療費が自己負担になったり,一旦保険会社が支払った治療費も後に慰謝料などのもらえる賠償金から差し引かれます。
 治療費と認められるためには,医学的な見地から,治療によって症状の改善効果があり、また治療内容や通院頻度が適正であることが必要です。
 早く治そうとして1日に何度も病院に行ってもそれにより症状が改善するわけではありません。
 同じ日に何度も病院に行ったり,同じ日に病院と接骨院に通ったり,必要以上の治療をしても症状はそれに比例して改善するわけではありませんし,通院自体が被害者の不利になるだけです。
 また,保険会社と争いになって裁判をする場合には,治療費を請求する被害者がそれを証明しないといけなくなりますが,医師の協力が必要であったりして簡単なものではありません。
 保険会社の側も,治療費が高額になって保険会社の負担が増えることを嫌がることが多いため,むしろ早期の打ち切りにつながることもあります。
 通院の頻度については医師ともきちんと相談し,過剰診療と疑われないように適切な通院をしてください。

3 早めの相談をお勧めする理由
 交通事故の相談で,自賠責保険の説明の一部分の記載を勘違いして,日額が決まっているので毎日通えば慰謝料が増えると勘違いしている方の相談を受けることがあります。
 自賠責保険は,治療費や休業損害を含めたケガに関するすべての損害について120万円を上限に定められた金額を支払うことができる保険です。
 治療費は自由診療の場合には健康保険を使用するよりも高くなりますし,健康保険を使っても通常は健保組合から被害者が窓口で払った残りの割合の治療費の請求がされますので,被害者が考えているより高額になることが多いです。
 一度交通事故にあうと,損害は自賠責保険の上限を超えることが大半で,上限を超えた損害は自賠責保険からは支払われません。
 自賠責保険で損害賠償金額が足りないからこそ,自動車に乗る方は任意保険に入る必要があるのです。
 自賠責保険の上限の120万円を超えた部分の慰謝料は,日額で決まるものではありませんので,通院日数や通院期間に比例して定額の慰謝料がもらえるものではありません。
 裁判基準の慰謝料も通院日数に比例するものではなく,通院期間が長くなると慰謝料は増えますが通院期間が長くなるにつれて増額の幅は緩やかになっていきます。
 最近はインターネットで簡単に情報が手に入りますが,必ずしも正確でなかったり,分かりにくくて解釈を間違ったりすることもあります。
 交通事故にあったら,なるべく早く専門家である弁護士にきちんと質問,相談をして,正しい知識を身に着けてください。

主婦の休業損害

 会社員が交通事故で受傷して会社を休んだりしたことで給料が現実的に減少してしまった場合,休業にともなう収入の減少は,原則として休業損害として損害賠償を受けることができます。
 では,ケガをして家事ができなかった専業主婦などの家事従事者は,家事ができなきなかったことによる損害賠償をうけることができないのでしょうか。

1 家事従事者の休業損害の請求
 家事従事者とは,現に家族のために家事労働をしている方のことを言います。
 確かに,自分の家族のために家事をすること自体で家族からお金を払ってもらっている方はいません。
 しかし,家族は,家事従事者が家事をすることで長時間働いてお金を稼ぐことが可能になりますし,家事従事者も家事をしなければ働いて収入を得ることができます。
家族以外の者を雇うと一定の報酬を支払わなければなりませんし,家族関係があるために対価が支払われていないだけです。
 そこで,家事従事者が家事をできなかった期間については,休業損害を請求することができます。
2 家事従事者の休業損害の算定方法
  会社員などの給与所得者であれば収入の減少額は計算しやすいですが,家事従事者は実際には報酬をもらっていません。
  では,現金収入がない家事従事者の休業損害は,どのようにして算定されるのでしょうか。
 家事従事者の算定の基礎となる収入額は,女性労働者の平均賃金等を用います。平均賃金は,毎年厚生労働省が発表している統計である賃金センサスを基準としています。
 他の人が家事をしていたり,家事を分担している場合などには,認められなかったり割合に応じて減額されたりする場合もあります。
3 主婦の休業損害の請求の際
 相手保険会社は,主婦の休業損害について積極的に認定しない場合があります。
 保険会社から何も言われないままだった場合には,休業損害を0円で計算されていても,被害者が気づかずにそのまま示談してしまうことがあります。
 相手保険会社から示談金の提示があった場合には,他に何か請求できるものがないか,一度弁護士のチェックを受けてみてください。
 また,休業損害として認定されていても,非常に低額の認定の場合もあります。
 もちろん,ケガの部位や程度によって家事に生じる支障は様々ですので,金額を算定して保険会社と合意できるかは話し合いによります。
 裁判で決める場合には,本人の陳述書のほかに医師に対してどの程度家事に支障があったかの問い合わせ書類を作成して証拠とすることもあります。
 主婦の休業損害について請求される方は,ぜひ一度弁護士に相談して,増額の見込み等のチェックを受けてください。
 弁護士法人心では,無料で示談金のチェックをしておりますので,お気軽にお問い合わせください。。