休業損害として認められるもの、認められないもの

名古屋も寒さが段々と厳しくなってきました。
新型コロナウイルス感染も増加してきておりますので、皆様お身体ご自愛下さい。
今日は休業損害について注意しておいた方がよいことを説明いたします。


1 休業損害について気を付けること
事故によるケガやその治療のために休業する必要が生じて休業し、現実の収入減や有休休暇の使用があった場合には、休業が損害として認められます。
もし、事故にあわなかったとしても収入が得られなかったのであれば、そもそも損害がありませんし、休業の必要がなければ損害が発生しても賠償されません。
入院する必要があって入院していたり、医師の判断で就労不能と判断されて休業が指示されれば、休業の必要があることが分かりやすく、争いが起きにくくなります。
医師に休業の必要性について相談する場合には、仕事の内容を含めてきちんと休業の必要があるかを相談してください。
休業に関して医師に診断書等を書いてもらう場合には、主治医に仕事の内容を十分に理解してもらった上で、医学的見地から休業が必要な理由を丁寧に記載してもらってください。
また、症状が悪化してやむ得ず休業する方もいらっしゃいますが、そのような場合にはご自宅で安静にするだけでなく、身体のためにも病院にいってきちんと診察を受けてください。
通院のない日に休業しても、ケガが理由なのか他の私的な事情で休業したのかが分からず、休業損害として認められないことがあります。
また、会社を休まなくても通院できるのにあえて遅刻や早退をして休業損害を請求しても、休業の必要がないとして損害として認められません。
事故直後には休まなかったのに、理由もないのに事故から時間がたってから休業した場合にも、事故との因果関係がないものとして扱われることがあります。
実際に休業して現実に収入が減少してから休業損害を争われると、生活に支障が生じる場合もあります。
安易に判断せずに、きちんと医師や弁護士に相談しておいたほうが安心です。

2休業損害として認められないもの
会社がお休みの日やお仕事が終わってから通院しても、給料の減額がないので損害がないことから、休業損害は認められません。
通院のために残業ができずに収入が減ることはありますが、残業は常にあるものではなく、残業の有無や残業時間が証明できないため、現実的には請求が困難です。
また、ケガによる通院等の際に有休休暇ではなく、代休を使う方がいらっしゃいますが、一般的には代休を使用した場合には休業損害は請求できません。
代休を使用した場合には、会社がお休みの日に病院に行ったことになり、損害が発生しないからです。
また、有給休暇にも色々な休暇がありますが、就業規則の定め方によっては休業損害として認定できないものがあります。
自由な時期に取得できる有給休暇は、労働者の権利であり、経済的価値があるものです。
本来であれば別の目的で使用することも可能でしたし、有給休暇が買い取りをされることもあります。
自由に使用できる有給休暇は、交通事故で使用したことで経済的な価値が失われてしまったので、休業損害として認められるのです。
ところが、私傷病休暇や夏季休暇など、使用時期や使用理由など使途を限定している休暇を使用した場合には、通常は休業損害は認められません。
私傷病休暇などは、ケガや病気などの定められた理由が発生しなければそのまま消滅するものですし、買い取りもありません。
このような有給の休暇を事故によって使用しても、被害者に経済的な損害が発生しないので休業損害とは認められません。