依頼者の本人確認

1 本人確認の必要性

今年もFATF(ファトフ)の年次報告書の提出期間が開始いたしました。
弁護士が依頼を受けることになると、依頼者の代理人として交渉をしたり、依頼者の代わりにお金を受け取って依頼者に返したりするなど、本人に代わってお金のやり取りをすることができます。
弁護士の仕事では大きな金額のお金を扱うこともあります。
お金のやり取りの際に弁護士の口座を間に挟むなどすることで犯罪収益のマネー・ロンダリングに利用されたりすると、弁護士全体が信用を失ってしまいます。
そこで、依頼者の本人特定事項の確認および記録保存等については、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき、日弁連の規程および規則が定められました。
弁護士は、現在、依頼者の本人確認をしたうえで、毎年4月から6月末までに毎年きちんと本人確認をしたのかを年次報告として弁護士会に報告します。
また、通常は、代理人として連絡してきたのが資格を持った弁護士であれば、代理権があると弁護士を信用して相手は対応しますので、依頼したのが本人になりすました別の人であるというようなことは許されません。
弁護士は、原則として、依頼を受ける前にきちんと依頼者の本人確認をする必要があるのです。

2 本人確認の方法

個人の方で依頼を考えている方の場合は、実際に弁護士と会って運転免許証やパスポート、顔写真入りのマイナンバーカードなどの顔写真入りの身分証明書の原本を見せていただいて、住所やお名前、生年月日等を確認すればご本人であることが分かります。
実際に依頼者本人と会って顔写真入りの身分証明書の原本等を確認し、コピーを撮らせていただくのが最も基本的な本人確認の方法になります。

顔写真入りの身分証明書をお持ちでない場合には、別の方法をとることになります。
健康保険証、年金手帳などの顔写真のない身分証明書の場合は、2種類の身分証明書の原本をお持ちいただき、住所やお名前、生年月日等を確認すればご本人と確認できます。
これらの身分証明書は、ご本人以外は取得できず、他人に原本を預けることも通常は考えられない書類です。
また、直接会うことができないなど場合には、対面の場合に必要となる身分証明書等のコピーをいただき、その身分証明書上の住所に転送不要の書留郵便で契約書等を送って受け取って契約書等を返送していただければ、ご本人からの依頼であると分かります。
依頼される内容等によっては、もっと厳格な本人確認をしなければならないとされていることもあります。

3 本人確認へのご協力をお願いいたします
依頼者本人にとっては、身分証明書を要求されるような事情がご自身にはないとお分かりですので、身分証明書を要求されて面倒に思われたりご不便をおかけするかもしれません。
しかし、本人確認は重要な制度ですので、ご依頼等の前には本人確認にご協力をお願いいたします。

ブログ一覧はこちら

弁護士法人心京都法律事務所の開設

1 弁護士法人心京都法律事務所の開設
令和3年2月1日に弁護士法人心京都法律事務所がオープンしてからあっという間に1か月以上が過ぎてしまいました。
私個人としては新たな京都での生活を楽しんでおりますが、事務所業務としては想像以上にやることがいっぱいです。
事務所には常駐している弁護士は1人ですが、徐々に事務員を増やしつつ、事務所内を充実させていく予定です。
京都駅近くに開設いたしました弁護士法人心京都法律事務所を是非よろしくお願いいたします。
京都での弁護士業務にも少しずつ慣れてきましたが、弁護士会が変わると微妙にルールが異なることもあるため、まだまだ戸惑うことも多くあります。
弁護士は、各地域の弁護士会に所属しないと、業務を行うことができません。
京都弁護士会の会員としてしっかりと弁護士業務に取り組んでいきたいと思います。


2 今後も順次開設予定です 
弁護士法人心京都法律事務所は、弁護士法人心では初めて近畿地方にオープンした事務所です。
今後も少しずつ全国に弁護士法人心の事務所を新しく開設して、皆様が弁護士法人心に来所しやすい環境にしていく予定です。
駅に近く、皆様が相談しやすいような場所に、今後も事務を増やしてまいります。
皆様の何か困ったことがございましたら、ぜひお早めにお近くの弁護士法人心に相談してください。

ブログ一覧はこちら

交通事故と自動車保険

今回は、交通事故の依頼者によく質問される保険の適用時点について、お話しします。

1 交通事故と保険契約

交通事故の被害者の方に適用されるのは,交通事故が発生した時点で効力が生じている保険です。
交通事故にあった後に新しい保険に入っても,遡って保険が適用されることは通常ありません。
弁護士費用特約を使用する場合にも、交通事故当時に効力が発生していた保険に弁護士費用特約が付帯しているかどうかを探す必要があります。
交通事故が起こってから自動車保険等に入ったり、特約をつけたりしても間に合わないのです。
今では弁護士費用特約に入っていたとしても、事故当時に入っていなければ弁護士費用特約は使えません。
自動車を運転される方は、きちんと検討して適切な保険に入りましょう。

2 交通事故後の保険会社の変更
交通事故にあった際に適用される保険は事故当時に入っていた保険ですので、事故後に別の保険会社の保険に変更しても、使用中の保険に影響がないことが通常です。
弁護士費用特約を使用して弁護士に依頼している途中で、自動車保険の更新の際に保険会社を変えたいとおっしゃる方もいます。
別の保険会社と新しく契約しても、事故当時に加入していた保険会社がそのまま弁護士費用を負担します。
事故後に保険会社を変更したり、保険をやめてしまったとしても問題ありません。
交通事故時の対応次第で保険会社を変更したり、保険内容を見直したりしてもよいのです。
万一再び事故にあった際に後悔しないように、更新の際にはきちんと保険を選んでください。

ブログ一覧はこちら

今年も1年ありがとうございました。

1 1年を振り返って
今年も1年が終わろうとしています。
名古屋も厳しい寒さが続いておりますが、皆様はお風邪など引いてはいないでしょうか。
今年は、新型コロナウイルス等で大変な1年になってしまいました。
年末に向けても新型コロナウイルス患者の増加で気が抜けない状況が続いています。
現在交通事故で通院されている方も、また不運にも年末年始に交通事故にあってしまうかたもいらっしゃるかと思います。
新型コロナウイルス患者の増加により、非常に通院しづらい状況は続いていますが、それでもやはり交通事故にあった際には通院が必要不可欠です。

2 通院継続の必要性
病院に行きづらい事情は保険会社も把握しています。
通院しないことについて説明すればある程度の配慮があった場合もありました。
しかし、それでもはり痛みがあれば通院するものと考えているため、通院の日数が少なければ治療費の支払いを打ち切ってきます。
病院への通院がしづらい場合には、病院を選んで転院をしたり、通院の頻度やタイミング、接骨院への通院を併用できないか等を医師に相談してみてください。
治療をしなければ症状は改善しません。
病院に行かなければ、我慢できる程度の軽い痛みしかない場合と区別できずに、治療は必要ないと思われてしまいます。
色々と工夫をして通院しやすい状況を作り出し、きちんと医師の指示に従って通院をしてください。

3 今年の最後に
今年も皆様には1年お世話になりました。
また、ブログを読んでいただきましてありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。
それでは、よいお年をお迎えください。

ブログ一覧はこちら

休業損害として認められるもの、認められないもの

名古屋も寒さが段々と厳しくなってきました。
新型コロナウイルス感染も増加してきておりますので、皆様お身体ご自愛下さい。
今日は休業損害について注意しておいた方がよいことを説明いたします。


1 休業損害について気を付けること
事故によるケガやその治療のために休業する必要が生じて休業し、現実の収入減や有休休暇の使用があった場合には、休業が損害として認められます。
もし、事故にあわなかったとしても収入が得られなかったのであれば、そもそも損害がありませんし、休業の必要がなければ損害が発生しても賠償されません。
入院する必要があって入院していたり、医師の判断で就労不能と判断されて休業が指示されれば、休業の必要があることが分かりやすく、争いが起きにくくなります。
医師に休業の必要性について相談する場合には、仕事の内容を含めてきちんと休業の必要があるかを相談してください。
休業に関して医師に診断書等を書いてもらう場合には、主治医に仕事の内容を十分に理解してもらった上で、医学的見地から休業が必要な理由を丁寧に記載してもらってください。
また、症状が悪化してやむ得ず休業する方もいらっしゃいますが、そのような場合にはご自宅で安静にするだけでなく、身体のためにも病院にいってきちんと診察を受けてください。
通院のない日に休業しても、ケガが理由なのか他の私的な事情で休業したのかが分からず、休業損害として認められないことがあります。
また、会社を休まなくても通院できるのにあえて遅刻や早退をして休業損害を請求しても、休業の必要がないとして損害として認められません。
事故直後には休まなかったのに、理由もないのに事故から時間がたってから休業した場合にも、事故との因果関係がないものとして扱われることがあります。
実際に休業して現実に収入が減少してから休業損害を争われると、生活に支障が生じる場合もあります。
安易に判断せずに、きちんと医師や弁護士に相談しておいたほうが安心です。

2休業損害として認められないもの
会社がお休みの日やお仕事が終わってから通院しても、給料の減額がないので損害がないことから、休業損害は認められません。
通院のために残業ができずに収入が減ることはありますが、残業は常にあるものではなく、残業の有無や残業時間が証明できないため、現実的には請求が困難です。
また、ケガによる通院等の際に有休休暇ではなく、代休を使う方がいらっしゃいますが、一般的には代休を使用した場合には休業損害は請求できません。
代休を使用した場合には、会社がお休みの日に病院に行ったことになり、損害が発生しないからです。
また、有給休暇にも色々な休暇がありますが、就業規則の定め方によっては休業損害として認定できないものがあります。
自由な時期に取得できる有給休暇は、労働者の権利であり、経済的価値があるものです。
本来であれば別の目的で使用することも可能でしたし、有給休暇が買い取りをされることもあります。
自由に使用できる有給休暇は、交通事故で使用したことで経済的な価値が失われてしまったので、休業損害として認められるのです。
ところが、私傷病休暇や夏季休暇など、使用時期や使用理由など使途を限定している休暇を使用した場合には、通常は休業損害は認められません。
私傷病休暇などは、ケガや病気などの定められた理由が発生しなければそのまま消滅するものですし、買い取りもありません。
このような有給の休暇を事故によって使用しても、被害者に経済的な損害が発生しないので休業損害とは認められません。

ブログ一覧はこちら

交通事故で被害者が弁護士に相談や依頼をする理由とタイミング

1 被害者が弁護士に接触する理由やタイミング
交通事故の被害者の方が,弁護士への相談を迷って相談しないまま相手保険会社と示談してしまうことがあります。
では,弁護士に相談や依頼をされた方は,どのような理由やタイミングで相談,依頼をされるのでしょうか。
2 交通事故直後のご相談,ご依頼
交通事故にあった被害者の方には,事故にあった直後に,交通事故の知識や対応の仕方を知りたくてご相談をされる方がいらっしゃいます。
今後の流れや今後やるべきこと,やってはいけないことなどの注意点を知っておくためにご相談をされたり,過失割合が気になって相談されます。
この段階で少なくとも一度は相談をして,必要な知識を身に着けておくことが一番安全です。
また,事故直後に保険会社や加害者からの心ない言葉や対応を受けたことでご相談を受けることもあります。
保険会社の担当者と話すこと自体が強いストレスになるような被害者は,この時点で依頼をされることもあります。
弁護士に依頼すると窓口が弁護士に一本化されて,相手側は弁護士を通してしか被害者に連絡を取れなくなりますし,被害者も弁護士を通してしか相手側と接触できなくなります。
対応自体が強いストレスになる方は,弁護士に相談してすぐに依頼をされる方もいます。

3 治療費の打ち切りや症状固定
交通事故で治療を続けていると,相手保険会社からそろそろ治療を終了するよう言われたり,症状固定と言われるたりしたことがあります。
被害者の方は,治療を続けたかったり,症状固定後にどうすればいいかわからなかったりして,弁護士に相談をします。
主治医がまだ治療が必要と言っているにもかかわらず相手保険会社から治療費を払わないと言われることもありますし,主治医も症状固定と考えていて後遺障害の申請に進むべき場合もあります。
状況によって,弁護士から治療費の一括対応や後遺障害申請の仕組み説明や相手保険会社等に対する対応方法のアドバイスをします。
治療費を立て替えること自体は相手保険会社の義務ではないため,治療費の支払いを強制することができませんし,症状固定後の治療費を支払う義務は相手保険会社にはありません。
しかし,被害者が,時間の都合で相手保険会社と直接連絡が取れていなかったり,性格的に強く言えない場合などに,代わりに相手保険会社に理由を聞いたり,自分の言いたいことを主張して欲しくて,弁護士に依頼される場合もあります。
また,後遺障害認定の可能性が上がるように後遺障害申請を弁護士に依頼される場合もあります。

4 相手保険会社からの示談提案
被害者が,相手保険会社から示談金額の提案を受け,適正な金額が分からなかったり,交渉しても増額しないので弁護士に相談することもあります。
弁護士に相談すれば,適正な金額かどうか,弁護士に依頼するメリットがあるか等をご説明いたします。
メリット等を確認のうえでご依頼いただくか決めることができますので,相手保険会社から示談金の提示があった場合には,すぐに返事をせずに弁護士にご相談ください。

ブログ一覧はこちら

治療費と過剰診療

1 治療の必要性,相当性
 交通事故にあった被害者の方の多くは,相手の保険会社から治療費の支払いを受けます。
 治療費として請求された実費が,すべて治療費として認められるとは限りません。
 治療費として認められるのは,必要かつ相当な実費に限られます。
 医師の指示に従って通院していれば,通常,治療の必要性や相当性が問題となることはありません。
 しかし,通えば通うほど慰謝料が増えると勘違いするなどして,一日に何度も通院した場合や無理に通院回数を増やした場合など,通院自体が過剰診療となる場合があります。

2 過剰診療と判断された場合
 診療行為の医学的必要性ないし合理性がない過剰診療の費用は,治療費として認められません。
 たとえば,ケガが軽微だったり,治療の終盤で徐々に治っているはずなのに,毎日通院をするような場合には,過剰診療が疑われます。
 過剰診療の場合には,交通事故の治療費とは言えないので,治療費が自己負担になったり,一旦保険会社が支払った治療費も後に慰謝料などのもらえる賠償金から差し引かれます。
 治療費と認められるためには,医学的な見地から,治療によって症状の改善効果があり、また治療内容や通院頻度が適正であることが必要です。
 早く治そうとして1日に何度も病院に行ってもそれにより症状が改善するわけではありません。
 同じ日に何度も病院に行ったり,同じ日に病院と接骨院に通ったり,必要以上の治療をしても症状はそれに比例して改善するわけではありませんし,通院自体が被害者の不利になるだけです。
 また,保険会社と争いになって裁判をする場合には,治療費を請求する被害者がそれを証明しないといけなくなりますが,医師の協力が必要であったりして簡単なものではありません。
 保険会社の側も,治療費が高額になって保険会社の負担が増えることを嫌がることが多いため,むしろ早期の打ち切りにつながることもあります。
 通院の頻度については医師ともきちんと相談し,過剰診療と疑われないように適切な通院をしてください。

3 早めの相談をお勧めする理由
 交通事故の相談で,自賠責保険の説明の一部分の記載を勘違いして,日額が決まっているので毎日通えば慰謝料が増えると勘違いしている方の相談を受けることがあります。
 自賠責保険は,治療費や休業損害を含めたケガに関するすべての損害について120万円を上限に定められた金額を支払うことができる保険です。
 治療費は自由診療の場合には健康保険を使用するよりも高くなりますし,健康保険を使っても通常は健保組合から被害者が窓口で払った残りの割合の治療費の請求がされますので,被害者が考えているより高額になることが多いです。
 一度交通事故にあうと,損害は自賠責保険の上限を超えることが大半で,上限を超えた損害は自賠責保険からは支払われません。
 自賠責保険で損害賠償金額が足りないからこそ,自動車に乗る方は任意保険に入る必要があるのです。
 自賠責保険の上限の120万円を超えた部分の慰謝料は,日額で決まるものではありませんので,通院日数や通院期間に比例して定額の慰謝料がもらえるものではありません。
 裁判基準の慰謝料も通院日数に比例するものではなく,通院期間が長くなると慰謝料は増えますが通院期間が長くなるにつれて増額の幅は緩やかになっていきます。
 最近はインターネットで簡単に情報が手に入りますが,必ずしも正確でなかったり,分かりにくくて解釈を間違ったりすることもあります。
 交通事故にあったら,なるべく早く専門家である弁護士にきちんと質問,相談をして,正しい知識を身に着けてください。

ブログ一覧はこちら

主婦の休業損害

 会社員が交通事故で受傷して会社を休んだりしたことで給料が現実的に減少してしまった場合,休業にともなう収入の減少は,原則として休業損害として損害賠償を受けることができます。
 では,ケガをして家事ができなかった専業主婦などの家事従事者は,家事ができなきなかったことによる損害賠償をうけることができないのでしょうか。

1 家事従事者の休業損害の請求
 家事従事者とは,現に家族のために家事労働をしている方のことを言います。
 確かに,自分の家族のために家事をすること自体で家族からお金を払ってもらっている方はいません。
 しかし,家族は,家事従事者が家事をすることで長時間働いてお金を稼ぐことが可能になりますし,家事従事者も家事をしなければ働いて収入を得ることができます。
家族以外の者を雇うと一定の報酬を支払わなければなりませんし,家族関係があるために対価が支払われていないだけです。
 そこで,家事従事者が家事をできなかった期間については,休業損害を請求することができます。
2 家事従事者の休業損害の算定方法
  会社員などの給与所得者であれば収入の減少額は計算しやすいですが,家事従事者は実際には報酬をもらっていません。
  では,現金収入がない家事従事者の休業損害は,どのようにして算定されるのでしょうか。
 家事従事者の算定の基礎となる収入額は,女性労働者の平均賃金等を用います。平均賃金は,毎年厚生労働省が発表している統計である賃金センサスを基準としています。
 他の人が家事をしていたり,家事を分担している場合などには,認められなかったり割合に応じて減額されたりする場合もあります。
3 主婦の休業損害の請求の際
 相手保険会社は,主婦の休業損害について積極的に認定しない場合があります。
 保険会社から何も言われないままだった場合には,休業損害を0円で計算されていても,被害者が気づかずにそのまま示談してしまうことがあります。
 相手保険会社から示談金の提示があった場合には,他に何か請求できるものがないか,一度弁護士のチェックを受けてみてください。
 また,休業損害として認定されていても,非常に低額の認定の場合もあります。
 もちろん,ケガの部位や程度によって家事に生じる支障は様々ですので,金額を算定して保険会社と合意できるかは話し合いによります。
 裁判で決める場合には,本人の陳述書のほかに医師に対してどの程度家事に支障があったかの問い合わせ書類を作成して証拠とすることもあります。
 主婦の休業損害について請求される方は,ぜひ一度弁護士に相談して,増額の見込み等のチェックを受けてください。
 弁護士法人心では,無料で示談金のチェックをしておりますので,お気軽にお問い合わせください。。

ブログ一覧はこちら

後遺障害における加重傷害について

この度,弁護士法人心 千葉法律事務所が千葉駅の近くに新しくできました。
千葉の周辺の方は弁護士法人心にますますアクセスがしやすくなったかと思います。
交通事故等で何かお困りごとがございましたら,弁護士法人心にご相談ください。

それでは,本日は,後遺障害の加重障害についてお話します。

1 既存障害があるとき
交通事故にあう前にその部位にすでに既存障害があった方が,同一部位や同一系列の部位に再度交通事故で傷害を受けた場合には,どのように考えればよいのでしょうか。
後遺障害の考え方では,同一部位等に新たに障害が加わったとしても,交通事故前の障害等級よりも等級が重くなるのでなければ,あらたな後遺障害とは評価されません。
事故前のケガや病気で障害のある方が,既存の障害と同じ部位に同じ等級の後遺障害が認定されても,障害等級表上の障害の程度を加重したものといえず,後遺障害に該当しないとされるのです。
被害者の方としては,せっかく痛みをほとんど感じないようになっていたのにまた痛みが出てきたり,もともとあった痛みに加えて痺れまで発生するようになったなどの場合は,納得できないお気持ちは強いかと思います。
しかし,症状が悪化したり加わったりしたとしても,後遺障害等級が同じであれば,前に認定された等級の範囲内の障害として,後遺障害部分が傷害部分とは別に損害賠償の対象となることはないのです。
ケガをした部位に症状が残っていたとしてもある程度以上でないと後遺障害とは認定されないのと同じで,同じ等級内での症状と判断された場合には,事故前と比較した悪化の度合いが小さいと評価され,後遺障害にあたらないことになります。
例えば,何年も前に頸部のムチウチの痛みで後遺障害等級14級9号を認定された方が,再度事故にあわれて頸部のムチウチになって痛みがぶり返りたり,しびれが加わったり等しても,同じ14級9号の認定であれば,後遺障害としての賠償を受けることができないのです。
交通事故にあう前に,ケガをした部位に何らかの症状があったことがある場合には,後遺障害申請をする際に注意が必要です。

2 加重障害の発生

では,事故前から障害が残存していたところに交通事故によって新たに障害が加わった結果,現存する後遺障害が既存の障害の程度よりも重くなったと認定された場合には,どのように考えるのでしょうか。
すでに後遺障害がある方が傷害を受けたのちに同一部位で前回より加重された重い等級が認定された場合には,加重された後遺障害等級の賠償金から既にあった後遺障害等級分の賠償金を差し引いた金額の賠償を受けることになります。
交通事故で発生した損害は,等級が過重となって悪化した部分のみですので,既存障害の部分はその交通事故とは関係のない損害になります。
そこで,加重された後遺障害に該当する賠償金の金額から,もともとの等級に相当する賠償金の金額が控除されることになるのです。
加重障害の方の後遺障害申請や損害賠償請求には,慎重な判断や複雑な計算が必要になることが多いですので,お早めに弁護士にご相談ください。
また,ご相談の際には,事故で症状が出た部位等に事故前に症状が出たことがあったかや過去に交通事故にあったことがあるかなど,古い話でもきちんと思い出したうえでご相談ください。

ブログ一覧はこちら

自賠責保険による賠償について

 少しずつ夏が近づいてきましたが,皆様お元気でしょうか。
 体調にお気をつけてお身体をご自愛ください。

 この度,弁護士法人心は,四日市市に事務所を開設いたしました。
 三重県内では、3か所目、全国では11か所目の事務所となります。
 四日市市の近郊にお住まいの方は,弁護士法人心四日市法律事務所でのご相談もご検討ください。

 では,本日は,自賠責保険について,少しお話したいと思います。

1 自賠責保険とは
  自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は,原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が法律上義務付けられている保険です。
  自賠責保険は,交通事故による被害者を救済を目的としており、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、最低限の対人賠償を確保しています。
  そこで,物損については,自賠責保険からの賠償はありません。
  車の修理代を自賠責保険に請求したいという方がいらっしゃいますが,制度上請求することはできませんので,相手が任意保険に入っていなければ本人に請求するか自分の車両保険を使うしかありません。

2 重大な過失による減額
  自動車事故でケガをした方の過失が10割の場合には自賠責保険からの賠償もありませんが,10割未満の場合には加害者であっても何らかの自賠責保険金の支払いを受けることができます。
  傷害部分の損害について,過失割合が7割以上10割未満の場合には,自賠責保険の範囲内であっても原則として賠償金は2割の減額がされます。
  ただ,損害額が20万円未満の場合には,減額はありませんし,減額により20万円以下となる場合には20万円が賠償されます。
  傷害部分の損害について,過失割合が7割未満の場合には,自賠責保険の範囲内であれば賠償金の減額はありません。
  後遺障害や死亡に係る損害についても,7割以上過失がある場合には,過失の割合に応じて減額がされます。
  傷害部分よりも過失による減額の割合が大きいため,大きなケガをした場合には加害者であっても過失は重要です。
  また,自賠責保険は重大な過失がなければ過失が考慮されないため,過失が考慮される裁判基準よりも自賠責保険の保険金額のほうが高くなる場合もあります。
  示談金の金額について気になった方は弁護士に相談したほうがよいでしょう。

3 自賠責保険からの傷害部分の賠償金 
  自賠責保険の保険金額は,原則として120万円を限度としています。
  治療関係費,文書料等や休業損害,慰謝料をすべて合わせて120万円を限度に自賠責保険から支払いを受けることができます。
  賠償金額が120万円を超えることはよくあることですので,自動車を運転される方は任意保険には必ず加入してください。
  自賠責保険の慰謝料は通院1日につき4200円でしたが,令和2年4月1日以降に発生した事故からは1日につき4300円になり,休業損害や看護料等のいくつかの項目についても,改正がありました。
  自賠責保険の慰謝料の計算方法を見て勘違いする方もいらっしゃいますが,自賠責保険の慰謝料は通院期間と実通院日数の2倍の「いずれか少ないほう」を基準に計算します。
  そこで,ケガをされた方が毎日病院に通っても通院期間以上の金額をもらうことはできません。
  2日に1回以上通っても,通院期間のほうが少なくなりますので,通院期間での計算になりますから,自賠責保険の慰謝料計算上の金額は同じです。
  また,全体として自賠責保険の120万円の上限を超えた場合には,自賠責保険からはそれ以上の支払いはありません。
  仮に加害者が任意保険に入っていても,自賠責保険の上限を超えた場合には,自賠責保険の計算方法とは違う計算方法で慰謝料を計算しますので,日割りで計算すると日額4300円を下回ることになることもよくあります。
  ただし,裁判基準でも,治療期間が長引けば慰謝料の増額幅が小さくなりますので,比例して慰謝料が増えるわけではありません。
  過剰診療と疑われることがないように,医師と相談しながら,必要な期間,必要な頻度で治療を行ってください。

    
  

ブログ一覧はこちら